2023.12.25 Monthly Pitch

MonthlyPitch登壇者が占う、2024年のテックトレンド <C向けサービススタートアップ起業家編>

MonthlyPitchでは、2023年のピッチイベントに登壇いただいた起業家7人皆さんに、2024年のトレンド予想をしていただきました。

皆さんそれぞれの専門領域にどのような影響があるのか、世界のスタートアップシーンはどこへ向かうのか。新進気鋭の起業家の皆さんならではの視点を楽しんでいただければ幸いです。

「AIタレントを起点にモデルやスカウト、マネージャーなど新たな職種が誕生する」GOKKO 代表取締役CEO 田中聡氏

── 御社の事業内容を教えてください。

ごっこ倶楽部は、WEBTOONに続く次世代エンタメコンテンツとして、WEBREEN(WEB+SCREEN)事業に注力しています。縦型ショートドラマを制作し、120秒の短尺で物語を描き出すことに特化しています。2022年末にTikTok Awardを受賞し、2023年には年間15億回の再生回数や総フォロワー数240万人を達成しました。

またマンガの1話購入視聴が普及した流れを汲んで、ショートドラマの1話購入視聴サービスを開始。アメリカや中国、韓国などの市場で注目を集めています。とくに短時間で魅力的なコンテンツを視聴したいタイパ重視のZ世代から、強く支持されている状況です。今後もデジタル時代のコンテンツ消費の変化に対応し、視聴者に新たなエンタメ体験を提供しつづけます。

── 2024年に波がくるスタートアップのテックトレンドを教えてください。

2024年は「AIタレント」がエンタメテックのトレンドになると予想しています。人気のAIタレントやAIアイドルグループが登場するでしょう。

AIタレントの増加に伴い、そのモデルとなる人間の需要も高まると考えています。リアルな人間らしさのあるAIタレントを生み出すには、実在する人間をモデルにする必要があるためです。

AIタレントに特化したモデルや、モデルを選ぶスカウト、マネージャーなどが新たな職業として重要な役割を果たしていくかもしれません。

── 挙げていただいたトレンドにより、どんな社会の変化が起こるか。また、どのような人やスキルが重視されるようになるかを教えてください。

クリエイターには、AIを活用したキャラクターデザインや、リアルタイムの相互コミュニケーションを設計するスキルが求められるでしょう。AIタレントをはじめとするデジタルキャラクターは、リアルタイムかつパーソナライズされた体験により、視聴者に新たな価値を提供するためです。

またマーケティングやブランディングなどの領域では、AIタレントを活用した新たなアプローチや、消費者の嗜好の変化に対応した広告戦略が求められるでしょう。エンターテインメント業界の進化に伴い、柔軟性と創造性を備えたプロフェッショナル人材がますます重宝されるようになると予想しています。

10年後にはデジタルタトゥーを施した顔でのオンライン活動が一般化し「生身でオンラインに現れるなんて」と驚かれる時代が訪れるでしょう。このような行為が「Web露出狂」と呼ばれるなど、社会に文化的な変化が起こると予想しており、2024年はその変化が始まる最初の年になると思います。

「企業のダイバーシティやESGの取り組みとその可視化サービスが加速する」Kiva 代表取締役CEO 野尻航太氏

── 御社の事業内容を教えてください。

2021年5月に安心して買える保証サービス「proteger」をリリースしました。2年半で、提供保証商品数7万点、修理パートナー400拠点まで拡大し、多くのEC事業者に導入されています。

また2023年12月には、サイトの構造やブランディングを変えることなく、アクセシビリティの向上と多様性を促進する「ユニウェブ」を提供開始しました。病気や障がいの有無にかかわらず、すべての人が平等に正しい情報を取得できる世界を目指しています。2024年の夏までに1万サイトへ導入することが目標です。

── 2024年に波がくるスタートアップのテックトレンドを教えてください。

企業のダイバーシティやESGに配慮した取り組みを、可視化するサービスが話題になると予想しています。2024年4月、民間事業者に対して、障がい者への合理的配慮を義務化する「改正障がい者差別解消法」が施行されるためです。

従来、障がい者に合理的配慮を提供する法的義務は、国や自治体のみに課されていましたが、2024年4月以降は企業にも同様の義務が求められることになります。

**── 挙げていただいたトレンドにより、どんな社会の変化が起こるか。また、どのような人やスキルが重視されるようになるかを教えてください。**

ダイバーシティやESGの取り組みを推進するスキルの需要は高まるでしょう。また、ダイバーシティが推進され、年齢や性別、人種、価値観の異なる人材が集まった際に、柔軟な意見交換や自由な発想ができる人材の価値も高まると予想しています。

「生成AIでアニメ制作の効率化やプロデューサー人材の希少化が進む」taskey 代表取締役CEO 大石ロミー氏

── 御社の事業内容を教えてください。

taskeyは400万DLのノベル・マンガアプリ「peep」の開発・運営および、「peep」でヒットしたノベルを原作にしたWebtoon・マンガを制作する「taskey STUDIO」を展開しています。2023年は、日本製Webtoonが多数リリースされる中、国内No.1のヒット作品も輩出しました。

グローバルでは韓国発のWebtoon作品が月間売上2億円を突破しており、taskeyは日本発で韓国作品と同等あるいはそれ以上の規模を目指しています。

── 2024年に波がくるスタートアップのテックトレンドを教えてください。

2024年も生成AIがトレンドの中心になると予想しています。また生成AIが、マンガ・アニメ産業に大きなインパクトを与えると考えています。

たとえばアニメ制作には、1つの作品に多くの人員が携わります。そこで各業務を効率化するために、生成AIをどのように活用すればよいかの議論が活発化するでしょう。

── 挙げていただいたトレンドにより、どんな社会の変化が起こるか。また、どのような人やスキルが重視されるようになるかを教えてください。

生成AIが、マンガやアニメの制作を効率化することは、クリエイターにとって悪い話ではありません。アニメクリエイターの労働環境の悪さは、長年の業界課題であるためです。生成AIにより、クリエイターが集中すべき業務だけに時間を割けるようになることを願います。

またアニメは大人数での制作が当たり前でしたが、1〜3人ほどの少人数でアニメ制作ができる未来も訪れるでしょう。

さらに従来は、ヒットしたマンガを原作にアニメを制作する流れが基本ですが、AIを活用して原作なしのアニメを制作し、IPを展開する未来も近いと考えています。そのためエンタメ業界では、マンガやアニメなど媒体の形にとらわれることなく、作品をプロデュースできる人材の価値が高まると予想しています。

7年目を迎えたMonthlyPitch、統括担当に矢崎啓太が就任

MonthlyPitchは7年目を迎えた2023年いっぱいを持って、統括担当をサイバーエージェント・キャピタル(CAC)取締役 パートナー北尾崇から、アソシエイトの矢崎啓太に交代します。新たに就任された矢崎さんにご挨拶いただきました。

「2016年に第1回を開催して以来、76回のMonthly Pitchで539社の起業家のみなさんにご登壇いただき、うち394社が登壇後の資金調達に成功されました。資金調達額の合計は、1,500億円を超えています。ここまで続けてこられたのも、登壇起業家、投資家、スポンサーの皆さまのご支援があってこそです。

そして今回、7年あまりの歴史を持つMonthly Pitchを北尾から受け継ぐこととなりました。 私自身、これまでは起業家の資金調達に本気で向き合うという思いで運営してきました。アンケート、ネットワーキング、投資家との接続を徹底的にサポートし、対面での開催が難しくなった際には即座に配信機材を購入し、自前でハイブリッド運営を行いました。

中にはMonthly Pitchで資金調達が完結したという方もおり、この頃「次のラウンドでもう一度出たい」「すべての起業家が登壇すべきだ」といったお声をいただけるのもそうした積み重ねの結果だと感じています。 恐縮ながら投資家の皆さまには各社1名でパートナー、エース級の方に限定してお越しいただいております。

これからも、築いてきた熱量の高いコミュニティをさらに広げ、「ここに来れば資金調達が完結するんだ」と起業家の皆さまに認識していただけるように運営してまいります。 新体制のMonthly Pitchも引き続き応援のほどよろしくお願いいたします。」

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