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人工衛星を用いた宇宙バイオ実験プラットフォーム/Monthly Pitch! スタートアップの扉
人工衛星を用いた宇宙バイオ実験プラットフォーム/Monthly Pitch! スタートアップの扉

上野 宗一郎 さん
サービス概要:
人工衛星を用いた宇宙バイオ実験プラットフォームを展開するのはIDDK社。
これまでの宇宙バイオ実験と比較して同社のサービスは、人工衛星を利用することでコストは1/10に。民間のロケット・衛星会社の利用でシンプルな手続きを実現しています。人工衛星は毎日のように打ち上げられているため、高頻度の実験とリードタイムの短縮も可能としました。
人工衛星でのバイオ実験を可能にしたのが、IDDKが開発するマイクロイメージングデバイス技術。半導体を使いワンチップだけで、顕微鏡のように観察できます。この技術を駆使した自動バイオ実験装置「Micro Bio Space LAB」が、バイオ実験を自動で実行。実験結果(の一部)のデータは地上に転送し、最終的にはサンプルリターンという形でサンプルとデータを地上に持ち帰ります。なお、IDDKの装置は人工衛星の中にある「ペイロードと呼ばれる」スペースに搭載されるそうです。
Monthly Pitch編集部はココに注目:
現在、世界中で加速度的に宇宙開発が進んでおり、未来では月や火星に人類が移住しているかもしれません。その際、食料やエネルギーの地球からの持ち込みは困難なので、現地で生産する必要があります。現在はそのための基礎的な実験や研究も増加。宇宙バイオ実験は、このような人類の宇宙進出へ貢献しています。
また、例えば筋肉が衰えてしまう筋ジストロフィーという難病や骨粗しょう症の薬、再生医療の研究といった新薬の開発や、マテリアル開発、半導体新素材の研究開発にも宇宙実験は役立っています。このような宇宙環境、微小重力を活用した実験市場は2023年に約5,000億、2040年には2兆円に迫る市場になると予測されているようです。
現在も様々な分野で利用されている宇宙実験ですが、これはほとんど宇宙ステーションでしかできません。宇宙飛行士への報酬などを考えると、1実験につき数千万〜数億円もの費用がかかってしまいます。厳しい安全基準や政府機関故の煩雑な手続きが必要で且つ、年に数回程度しかアクセスできないのも大きな課題です。IDDKの人工衛星を用いた宇宙バイオ実験プラットフォームは、以上のような課題を解決に導きます。