2022.02.10 Monthly Pitch

データサイエンティストのコミュニティを運営、コンペでAIモデルの精度向上を目指す Nishika【Monthly Pitch!注目スタートアップ】

Monthly Pitch!注目スタートアップではMonthly Pitch編集部と協力し、毎月開催されるピッチ登壇社から特に注目のスタートアップを毎週ご紹介していきます。

サービス概要:Nishika は2019年5月に創業、同じ年の11月から AI 開発の新しい手法であるデータサイエンスコンペティションを中心としたコミュニティプラットフォームを運営している。コンペティションではあるテーマを出し、その目的に向かってデータサイエンティスト同士が競い合うことで、より精度が高い AI モデルを導き出す。2021年2月からは、データサイエンティストに特化した求人サービス「Nishika Connect」を運営している。

Monthly Pitch編集部はココに注目:データ分析コンペサービスは「Kaggle」など海外にもありますが、国産サービスとしての筆頭格が「Nishika」です。画像認識、自然言語処理、需要予測、時系列分析など、データサイエンティストにとっては腕試しとなる課題が多く用意されています。以前には、中古通販「Brandear」がユーザの行動履歴データを提供し、レコメンドエンジンの精度を競うコンペを開催しました。このように、企業がスポンサーとなって、より実践的な AI モデルの開発に挑戦できることからデータサイエンティストの人気を集めているようです。

ピッチ全文:Nishika株式会社の山下と申します。宜しくお願い致します。NishikaはAI開発の新しい手法であるデータサイエンスコンペティションを中心としたコミュニティプラットフォームを運営しています。2019年5月に会社を創業し、同年11月末に「Nishika」をローンチしました。

Nishikaはデータサイエンスコンペティション、データサイエンスに特化したQ&Aフォーラム、データサイエンティストの求人メディアという3つのコンテンツを提供しています。データサイエンスの力を必要としている企業とデータサイエンティストを繋ぐ場として、それぞれの課題を解決するサービスです。今回はデータサイエンスコンペティションについて説明します。

ある企業が機械学習を用いたECサイトのレコメンドエンジンを開発したいと考えたケースを想定して下さい。まずNishikaがコンペを開催し、参加者であるデータサイエンティストを集めます。例えば企業から預かったユーザーデータ1年分から、直近1ヶ月分を抜いた11ヶ月分のユーザーの行動履歴データを参加者に渡し、「直近1か月でユーザーが何を買ったのか当ててください」等と出題。参加者はコンペ形式でAIモデルの精度を競います。

コンペ期間は2~3ヵ月程度で、リアルタイムで各参加者が開発したAIモデルの精度が高い順にランキング表示されます。参加者が自身の立てた仮説を検証しながら、AIモデルの精度をブラッシュアップできます。そして2~3ヵ月後、最終的に最も精度が高いAIモデルを開発した参加者が優勝です。企業は開発されたAIモデル(レコメンドエンジン)を受け取り、上位入賞したデータサイエンティストは賞金を受け取ります。Nishikaもコンペ主催企業からコンペ開催・運営の手数料を頂戴する仕組みです。

Nishikaが解決する課題はまず、企業側のAI人材やデータサイエンティストの不足です。経済産業省によると、現在のAI人材が約12万人なのに対して需要は約17万人と、すでに5万人ほど供給が不足。今後も5GやIoT、DXの影響でさらに人材不足が深刻化すると予想されています。一方でデータサイエンティスト側は、スキルアップのための実データセットが足りない、転職などの際にデータサイエンティストとしての実力を客観的に示す手段が不足していることが課題です。

コンペティション方式でAIモデルを開発する特徴は3つあります。1点目はプロダクトの精度がとても高くなること。数百人のデータサイエンティストが競い合って、最も精度の高かったものが入手できるからです。2点目は機械学習で用いるタスクは全部取り扱えるので、技術的に非常に幅広い対応が可能です。3点目はオープンイノベーション方式のため、国内外のトップデータサイエンティストの活躍が期待できます。

具体的なユースケースは主に2つあり、高精度AIおよび最先端AIモデルの開発です。海外では、レコメンドエンジンや異常検知、需給の予測等を目的としたAIモデルの開発に使われることが多いです。

ターゲットとなる市場は、AI構築サービス市場とデータサイエンティスト求人メディア市場の2つ。Nishikaの特徴は2つあり、1つはデータサイエンスのQ&Aプラットフォームを提供し、コンペだけではなくコミュニティプラットフォームとしての側面を重視している点。もう1つは創業メンバーの元コンサルタントとしての実績を活かし、コンペを開催するまでのコンサルティングフェーズに注力しコンペの開催からクロージングまでに必要な業務のほぼ全てを主導している点です。

将来的にはコンペの実施で培ったプラットフォームを活かして、データサイエンティストに特化した人材紹介等のプラットフォームに事業を拡大させていきたいと考えています。以上です。ありがとうございました。

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